なぜ私が「美意識」について考え始めたのか?

3月 4, 2021
Category: お知らせ
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』『ニュータイプの時代』『ビジネスの未来』など話題書を次々と出し、いまビジネスパーソンに大注目の独立研究者・山口周氏の最新刊『自由になるための技術 リベラルアーツ』が刊行された。
現代に私たちに必須の素養「リベラルアーツ」とは? 冒頭部分を4回に分けて連載する。

みっともないビジネスが増えていないか?  

私は以前から、自分の考えを残すためにデジタルメモを活用していて、何か心が動いたことがあると、メモに取りクラウドコンピューターの中に残すようにしています。

執筆するときは、それらの断片を再構成するのです。本を書く人には作曲家と同様に、思いついたままに作曲を進める「モーツァルト型」、五線紙をいつも持ち歩いて、メロディーが思い浮かんだら少しずつメモをし、あとで構成しながら作曲していく「ベートーベン型」の二種類のタイプがいるのですが、私は明らかに後者ということになります。

そのクラウド内のメモで「美意識」というワードが出てきたのは、2015年くらいのことです。

「これから社会で活躍する人には、美意識が必要とされるのではないか?」

その後出した本(『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』光文社新書、2017年)の骨子も、そのメモには全部書いてありました。

それでは、どうして美意識について考えるようになったかというと、二つ理由があります。

一つはエシックス(ethics)、倫理の問題です。当時、世の中にみっともないビジネスが、非常に多くなってきていると強く感じていました。

コンプリートガチャなど、単に儲かればよいというようなビジネスモデルが横行し、世の中や社会が豊かになるような商品・サービスが、富と必ずしも結びついていない。世の中の営みをまるでゲームみたいに取り扱い、いかに効率よくお金を吸い上げるか、いかに楽をして年収を上げられるか、そんなことばかりに注目が集まりマスコミもはやし立てていました。若者ですら、そんな大人に憧れていた。この状況は、何か根本的におかしいのではないかと思ったのです。

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