[ITmedia ビジネスオンライン] 「何かあったら困るから」をどう解消する? 道半ば「総務のテレワーク」を推し進めるカギ

2月 24, 2021
Category: お知らせ

緊急事態宣言は「時間稼ぎ」?

 年明け早々に発出された二度目の緊急事態宣言だが、あくまでも「時間稼ぎ」であり、コロナ禍の本質的な解決策ではない。逼迫している医療状況を改善させるため、そして何より、ワクチン接種を開始するまでに感染爆発が起こらないようにするための処置なのである。

 一方で、ワクチン接種の状況はというと、ようやく開始したが、多くの世代にまで行き渡るのは早くて夏頃のイメージだろう。ただ、ワクチンの製造が遅れているとの情報もあり、これよりもまだ先になるような感じもある。報道では、ワクチン接種をしたくないという人、しばらくは様子見を決め込む人などが相当数いるとのアンケート結果も話題になった。さらに、感染爆発が続いている国では変異種が登場。既存のワクチンの効果が薄れる可能性もあり、ワクチン、変異種、新たなワクチン、そしてまた変異種――というようないたちごっこが続くこともあり得る。ウィズコロナは、当面続きそうである。

 また、最近、総務や人事周辺で話題になっているテーマがある。「ワクチン接種を従業員に強制できるのか」「ワクチン未接種の従業員を強制的にテレワークにできるのか」といったものである。人類史上初の課題に直面する事態となっており、まだまだ総務人事は難題続きである。

緊急事態宣言、1回目と2回目でテレワーク率に変化はあった?

 こうした課題とともに、総務の現場で深刻なのは「テレワークできない問題」だ。一度目の緊急事態宣言時に、紙とハンコなどの問題からテレワークが難しい現状が明らかになった総務は、今回どこまでテレワークが浸透しているのだろうか。筆者が編集長を務める月刊総務で1月13〜18日に行った緊急アンケート「緊急事態宣言下のテレワークと総務の対応に関する調査」を基に見ていこう。

 まずは、総務に限定せず、前回の緊急事態宣言時に関する回答を見てみよう。

出所:月刊総務調査

 およそ9割の企業がテレワークを実施したようだ。前回は「コロナ初体験」ということもあり、多くの企業が危機感を持って自己防衛に努めた。その後、緊急事態宣言が解除になったあと、どれくらいの企業が「後戻り」したのだろうか。下記のグラフを見てみよう。

出所:月刊総務調査

 2割ほどの企業が、解除後に原則出社へと戻したようだ。実際に、大手商社が原則出社に戻したことは大きな話題となった。在宅勤務だと生産性が低下するというような調査結果も一部で出てきており、コミュニケーションの希薄化という具体的な課題も出てきた。こうした事情が、一定の「戻りたいバイアス」を生み出しているようだ。

 さて、次のグラフは、今回の緊急事態宣言下での対象地域におけるテレワークの状況を示したものである。

 結果を見ると、一度目のときよりもテレワークを実施した企業が「微増」したことが分かる。

出所:月刊総務調査

 細かく見ていくと、

  • 全社的に実施(出社日の定めなし):30.1%
  • 全社的に実施(週の出社回数を制限):28.0%
  • 一部の部署で実施(出社日の定めなし):22.0%
  • 一部の部署で実施(週の出社回数を制限):9.9%
  • テレワークは実施していない:9.9%

 という結果だった。一方、緊急事態宣言対象外地域での状況は、

  • 全社的に実施(出社日の定めなし):7.9%
  • 全社的に実施(週の出社回数を制限):2.6%
  • 一部の部署で実施(出社日の定めなし):39.5%
  • 一部の部署で実施(週の出社回数を制限):18.4%
  • テレワークは実施していない:31.6%

 とあり、対象外の地域でも7割ほどの企業でテレワークを実施しているようだ。

総務のテレワーク率は?

 一方で、総務のテレワークは、今回の緊急事態宣言で進んだのだろうか。次のグラフを見てみよう。

出所:月刊総務調査

 残念ながら、完全テレワーク率は、たったの「3.4%」にとどまった。ただ、前回は1.6%であったことを考えると、多少なりとも増加している。広くテレワーク実施率ということでいえば、8割の総務ができている。総務の三大課題ともいわれる「押印」「代表電話の取り次ぎ」「郵送物の処理」がシステム化され、徐々にではあるが業務改革が進んでいると見ることはできるだろう。

 とは言いつつも、総務の誰かしらが出社している状況が、大方の企業であることは間違いない。先の三大課題もさることながら、総務は「何かあると困るから、社内にいてもらわないと困る」という意見に引きずられて出社しているケースも多いと聞く。

 この「何かあると困るから」の「何か」とは、いったい何なのか。突き詰めれば、まだテクノロジーに移管できていない、現場の範疇(はんちゅう)でない面倒な雑用を誰かに振りたいから、そのようにいっているケースが大半なのだと思う。では、この「何かあるから」という課題を解消する手だてはないものだろうか。

総務は便利な「何でも屋」か(出所:ゲッティイメージズ)

 多くの企業で取り入れられているのが、「総務のメニュー表」である。今までは総務に問い合わせて対応してもらっていたものごとを、FAQ形式のようにして「総務に依頼するなら、まずここを見て調べてください」「それでも分からなければ依頼してください」というようにワンクッションを設けるのだ。簡単なものであれば、現場社員が自ら検索し、自己完結できる仕組みである。

 これにより、総務に入る問い合わせが8割ほども削減できた、という企業もあるほどだ。その結果、レアケースのみ総務に問い合わせが入るようになり、そのレアケースも数が増えてくれば、新たなメニューとして追加していき、どんどんと現場で自己完結できるように仕向けることで、総務の負担を大きく軽減できる。総務が現場にいなくとも問題解決できる体制ができ、総務もいよいよ完全なテレワークが実現できるはずだ。

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