[ITmedia ビジネスオンライン] 焼肉きんぐ、幸楽苑、ワタミに「配膳ロボット」が続々登場 変わる従業員の働き方

3月 17, 2021
Category: お知らせ


アフターコロナ 仕事はこう変わる:

 新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、業務の進め方を見直す企業が増えている。営業、在宅勤務、出張の是非、新たなITツール活用――先進的な取り組みや試行錯誤をしている企業の事例から、仕事のミライを考えていく。

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 大手外食チェーンで、従業員の感染リスクを低減するとともに、人手不足を補う手段として配膳ロボットの導入が進んでいる。コロナ禍の前から導入を検討していた企業もあるが、ここにきて一気に普及し始めている。

 ロボットの導入で、従業員の働き方をどう変えようとしているのか。


配膳ロボットが「焼肉の和民」内で働く(出所:リリース)

ワタミの焼き肉店でロボットが活躍

 同社が運営する「焼肉の和民」では、配膳ロボット「PEANUTS」を活用している。PEANUTSは、中国をはじめとするアジア、米国などで6000台以上導入されているという。販売しているのはPOSシステムなどを扱う日本システムプロジェクト(東京都新宿区)だ。

 PEANUTSは、店舗のマッピングデータと複数のセンサーで自律的に判断し、料理をテーブルまで運ぶ。配膳の途中にお客や障害物にぶつからないようにするため、走行速度の設定変更も可能だ。


公式Webサイトで感染防止対策をアピール(出所:ワタミ公式Webサイト)

 ワタミはこのロボットを導入する狙いとして「感染予防対策」「働き方改革」「エンターテインメント性」を挙げる。スタッフが今まで以上にサービスに集中することで、接客品質の向上とホール業務の省力化を図る。

 焼肉の和民では、特急レーンで料理を客席まで運ぶ仕組みを導入している。配膳ロボを特急レーンと組み合わせることで、接触機会をより減らせる。こういった取り組みは、お客だけでなく、従業員も安心して働ける環境の実現に役立つ。



幸楽苑は33店舗に導入

 幸楽苑ホールディングスは20年8月27日、本宮店(福島県本宮市)でAIを活用した非接触型の自動配膳ロボット「K-1号(ケー・イチゴウ)」の実証実験を開始した。このロボットも、ワタミと同じPEANUTSだ。


実証実験の店舗で利用した「K-1号(ケー・イチゴウ)」(出所:リリース)

 お客がテーブルに設置してあるタブレットで料理を注文後、スタッフが調理を開始。完成した料理をロボットのトレーに乗せ、タッチパネルで指示するとお客の席まで料理を運ぶ。料理を受け取ったお客が、ロボットの音声案内に従ってセンサー部分に手をかざすと、自動で厨房に戻る仕組みだ。

 導入の目的は、配膳時における接触を避けるとともに、店舗スタッフの負担を軽減することだ。従業員は接客に集中できるようになる。

 現在、配膳ロボットを導入しているのは33店舗(3月15日時点)。広報担当者によると、混雑時に店舗を安定して運営するのに役立っているという。今後の配膳ロボットの導入計画は「検討中」とのこと。

 同社は、注文や会計などの際、従業員とお客の接触を減らすために「完全セルフシステム」対応の店舗を増やしている。9月末までに165店舗に導入するのが目標だ。ロボット導入やセルフシステムの自動化で、従業員の感染リスクを低減するとともに、負担を減らせるような働き方の実現を目指す。



大戸屋も導入スタート

 大戸屋は2月18日、ソフトバンクロボティクスの配膳・運搬ロボット「Servi(サービィ)」を、自社で運営する「大戸屋ごはん処」4店舗に順次導入していくと発表した。まず、神奈川県にある東急日吉駅ビル店で稼働を始める。

 サービィは高性能のセンサーを装備しており、人や物を避けながら料理を運ぶ。最短60センチの幅を通過することが可能で、人ともスムーズにすれ違えるという。どの方向からも料理を載せられる。総積載量は最大30キロなので、重い食器や複数の料理も一度に配膳できるメリットがある。

 大戸屋がサービィを利用する狙いは「店舗の業務効率化や顧客満足度の向上に加えて、来店客との直接的な接触を削減するなど、ニューノーマル時代に合った使い方ができる」ことだという。


大戸屋で活躍するサービィ(出所:リリース)

 業務効率化に関しては、食事をテーブルまで運ぶ従業員の補助役としてサービィを位置付ける。コロナ禍の影響で勤務を控えるアルバイトが増えているため、ロボットを使って人手不足を補うとしている。さらに、従業員の負担が軽減されるため、多くの時間を接客業務に充てられることもメリットとして挙げている。特に、従業員の確保が難しい昼や夕方の早い時間帯に稼働させることを想定している。今後、活用方法を検討しながら導入拡大を検討するとしている。



443台の稼働を目指す「焼肉きんぐ」

 大手焼き肉チェーン「焼肉きんぐ」などを運営する物語コーポレーションも配膳・運搬ロボットの導入を進めている。店舗に配置しているのは、大戸屋と同じサービィだ。

 同社は19年11月に数店舗で配膳業務の実証実験を行った。その結果、十分な効果が見込めると判断したため、21年1月から310店舗にて計443台を順次稼働させる方針を打ち出した。広報担当者によると、現在は目標の2割程度の店舗に導入されているという(3月12日時点)。計画からやや遅れてはいるが、4月中旬までには予定している店舗への配置を完了させる。


焼肉きんぐの店内にいるロボット(出所:リリース)

 同社がサービィを導入するのは、「焼肉きんぐ」と「ゆず庵」だ。郊外ロードサイドを中心とした大型レストランで、テーブルバイキング方式のサービスを提供している点で共通している。

 サービィを導入する狙いは「お客さまに提供するサービスを磨く」(広報担当者)ことだ。例えば、焼肉きんぐには「焼肉ポリス」と呼ばれる従業員がいる。焼肉ポリスは、テーブルを回って素材を最良の状態で食べられるように“おせっかい”をするのが仕事だ。配膳業務をロボットに任せれば、こうしたサービスに集中できる。

 一般的な食べ放題サービスを利用するお客の場合、1組で十数回オーダーをするという。何度も厨房とテーブルを配膳のために往復するのはかなりの負担となる。同社の実証実験では、1日当たり約300回の配膳業務を実施し、業務用途に十分耐えられると判断した。

 ロボットの導入を検討し始めたのは新型コロナウイルス感染拡大よりも前だ。また、同社はリアルな接客を軽視しているわけではない。しかし、ロボットの導入は生産性向上だけでなく、従業員とお客の不必要な接触機会を減らすことに役立つのは間違いない。


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